ハーブスと私

カテゴリー : ビジネス書/婦人書
著 者 : 山田幸枝(やまだ ゆきえ)
定 価 : 1,260円(本体1200円+消費税)
発行元 : JPS出版局
発売元 : 太陽出版
本の大きさ : 四六判
製本形態 :上製(ハードカバー)
本文ページ数: 208頁
ISBN978-4-88469-594-1
内容紹介
夢見るすべての女性たちへ
名古屋の片すみに夫婦で開いた小さな喫茶店。
それが全国規模のケーキショップ「HARBS」のはじまりでした。
家事、育児、仕事に翻弄されながら、ひたすら追いかけ続けた甘くも切ない夢の記録です。
笑顔の数だけ幸せもある
やわらかな音楽が流れ、香り豊かなコーヒーと美味しいケーキ。
それが当たり前にある場所には、必ず人の笑顔がある。そして、笑顔の数だけ幸せもある。
そうやって、すべてはつながりあっているような気がする。(本文より)
目 次
・大切なパートナーとの出会い
・波乱ばかりだった新婚旅行
・2人でめぐった東京の喫茶店から得たもの
・メルローズ1号店オープンの日
・初めての出産、引っ越し、そして、専業主婦へ
・夫の新たな夢、会社設立
・イタリアン・トマトとの出合い
・2号店オープン、そして……
・ハーブス誕生へ向けて
・絶対絶命のピンチ!
・客が来ない……
・ミルクレープ誕生
・新たなる挑戦
・イタリアン・レストラン誕生へ向けて
・経営者と母親のはざまで
・アルアピス開店、そしてメルローズ……
・ようやく思い出した「忘れ物」
・新しいコンセプトで蘇ったメルローズ
・ハーブスの新たなる展開
・成長するハーブス
・崩れゆく家族
・手渡された取締役会招集通知
・エピローグ 〜今、思うこと
サンプルページ
プロローグ
名古屋市を南北に貫く久屋大通公園は、五月になると甘く、青い香りで溢れだす。この時期、この公園のシンボルでもあるトチノキがいっせいに花をつけるのだ。
公園を行き交う人の中に、この小さくて、可憐でもない花のことを気にとめる人はあまりいない。ただ、はらはらと風に吹かれて、頼りなく降り落ちるだけのこの花は、どこか哀れっぽく、それでいて香りが強くて、私も昔から、好きにはなれなかった。でも、なぜか今は、その香りがむしょうに懐かしく感じられる。
噴水を通り過ぎ、青空に銀色の剣を振りかざしたようなテレビ塔を見上げながら、その日、私は久しぶりに公園を歩いていた。公園内の風景、一つひとつが遠い過去の記憶を揺さぶって、気持ちが自然と高揚する。
あの頃、ちょうどこのセントラルパークは完成したばかりだった。けれど、当時、公園の景色をゆっくりと眺めながら歩いた記憶などない。そんな余裕などなかったし、当時の自分は、そんな気にもならなかったに違いない。ただもう毎日が忙しくて、立ち止まることさえ、ためらわれた。けれど、長い時を経ても、風景の記憶だけは、心の片隅に残っている。
テレビ塔に近づくに連れて、やがて木立の間から、私にとって大切な思い出の場所が見えてきた。懐かしいというよりは、私の心の奥の柔らかいところをキュッと掴まれたような、ちょっと切ない感じだ。
「何も変わっていない」。一度、大きな改装をしたはずだが、店の外観やたたずまいは、二十年前に、私と夫で作り上げた当時と何も変わっていないような気がする。たぶん、まわりの街並みの変わり様の方が激しく、当時の街の雰囲気を残しているのが、この店だけのように思えるからかもしれない。
ケーキ&カフェレストラン『ハーブス(HARBS)』。おそらく名古屋に住んでいる人なら、訪れたことはなくても、名前だけは知っている人は多いだろう。二十年もの長い間、若者たちに親しまれてきた手作りケーキの店だ。
私は公園内の小さな石のベンチに座り、そこから店を眺めた。遠すぎて、店に人がいることが、かろうじてわかる程度だったが、店内のにぎわいやケーキの甘い香りさえ、私には感じ取れた。ミルクレープ、マロンタルト、ストロベリーケーキ、バナナパイ。
想像しなくても、その味や香りは、いつでも私の記憶の引き出しから取り出せる。
ちょうどそのとき、店から出てきた女性の二人連れが、こちらへゆっくりと歩いてきて、地下街への階段を下りていくのが見えた。手にはハーブスのロゴの入った袋を提げている。テイクアウトのお客様だ。あの袋のロゴ一つとっても、さまざまなエピソードがある。
なぜ、HERBのEをAに変えたかとか、そのとき、夫と交わした言葉とか。思い出の一つが糸口となり、次々と忘れかけていた思い出が甦る。走馬灯のようにとはよくいうが、まさにそんな感じだった。ベンチに座りながら、次から次へと従業員の顔や、お世話になったキーコーヒーの方々、ホテルのパティシエという職を捨てて、私たちに賭けてくれた人、そして夫、なにより、頼りない二人に快く出資してくれた両親の顔が思い浮かんた。
楽しい思い出というよりは、苦労の連続だった気がする。けれど、その苦労自体
が楽しい思い出となっていることを今は実感できる。
ふと、着ているアイボリーの薄いコートの上に、風にあおられたトチノキの花がいくつも落ちているのに気がついた。それを払いのけることもなく、ぼんやり眺めながら、そういえば、夫と私が出会い、結婚したのも五月だったことを思い出していた。
編集者から一言
「そんな本、売れるもんか!」この本の企画をきいたとき、最初はそう思いました。ハーブスなど東京在住の私は知らなかったからです。
しかし、半信半疑で在京の名古屋出身の方たちに訊くと、誰もがこの店の思い出を話しだし、止まらなくなるのです。だんだん、私もハーブスに興味が湧いてきました。
著者の山田さんにお会いしてみると、ごく普通の柔和な女性です。この女性が、どうしてそんな凄いお店を? と思いながら、何度も打ち合わせをし、本を仕立てていきました。
本が完成して、改めて読んでみて、その理由が分かった気がします。この本は単なる成功譚ではありません。ビジネス書というほど、固くもありません。エッセイというほど、ほのぼのもしていません。ただ、読み終えるとホッとするのです。
当時のハーブスには、もう行くことはできませんが、ひょっとすると、これがハーブスの魅力だったのではないかと思うのです。
装丁デザイナーの私からも一言(ウィンバレー/勝谷高子)
「ハーブスと私」の、カバーデザインを担当させていただきました。
もともとHARBSは、六本木ヒルズや恵比寿ガーデンプレイス、ルミネ新宿などに入
っているケーキ屋さんなので、私も行ったことがありましたし、大き目でおいし
いので、大好きなケーキです。
ケーキの持つ甘くて上品なイメージは、私の大好きなテーマですので、カバーも
楽しくやらせて頂きました。本が出来上がって、とてもいい仕上がりに大満足で
す。
また、改めて本を読んで感じることは、この本はビジネス本として、これからカ
フェをやろうとしている人にとても参考になる本です。だけど、それだけではな
い、一人の女性の人生、そして恋が書かれているドキュメンタリーです。
エネルギッシュな彼女なしには、HARBSは出来なかったでしょう。自分の作った本
で、部分的に読んでいたのに本が出来あがって読んでみると、著者のいろいろな
思いが伝わってきて、なんとも言えない気持ちになりました。
女性なら必ず、共感できる本です。
推薦の言葉(高石左京)
この本の執筆には長い時間がかかったようです。
新婚夫婦が始めた街角の小さな喫茶店が、全国規模の有名なケーキショップになるまでの波乱に満ちたサクセスだけでもなかなか語りつくせないのに、その過程で広がる夫婦間の亀裂、さらには劇的な終焉は、読む人を圧倒することでしょう。
私のところに最初に原稿が持ち込まれてからも、幾度も書き直し、さらに思い出しては修正を加える。その過程を半年以上経て、ようやく完成しました。
実はその前にも、編集者との間で2年以上のラリーがあったと聞いていました。
一人の小柄な女性が、運命に翻弄されながらも前へ前へとひたむきに歩き続けた半生です。 語り切れないその半生の密度を、さらに一冊の本の中に凝縮する過程は、彼女の心の整理期間でもあったように見受けられました。
この本の中には、夢を追いかける女性の生き方、さらには女性のためのビジネスの視点についてのヒントが数多くちりばめられています。
この本が、多くの夢見る女性の指針となり、心の支えとなることを願っています。
レビュー
恋人たちのための店を作りたい思いが伝わってくる。 2008/10/17 By happa
(amazonのレビューより引用)
ハーブスは、名古屋ではデートスポットとして有名な場所。
でも、それには、この人のもつ、お店に対するこだわりがありました。
この本は、いわゆるビジネス本ではないです。
これからお店を作りたいという人にも役にたつ本だとは思います。
でも、それだけではないです。
一人の女性のエネルギーと、恋と、それに翻弄された人生が描かれているということ。
そして、彼女なしには、ハーブスは出来なかっただろうということ。
うかつにも泣いてしまいました。
もう2回ほど読んでいるのに、著者のいろいろな思いが伝わってきて、
なんとも言えない気持ちになりました。
女性なら必ず、共感できる本です。
著者の山田さんには、もっと元気になってもらいたい、
そう願わずにはいられません。
ネコノシタ (141件) 60代/女性 2008/12/01
(楽天ブックスより引用)
ハーブスとあったので、ハーブを育てている体験談と早とちりして購入。
名古屋では、知らない人の無い若者に親しまれている手作りケーキ屋さんカフェ&レストラン「ハーブス」が生まれるまでのお話。
若い夫婦が名古屋の片隅で小さな喫茶店を始めるが、それが大当たりして、店舗を増やし、「ハーブス」にたどり着くまでの成功物語が淡々と語られている。
しかし、商売は成功したけどご夫婦の間には亀裂がおき、この本を書いた奥様は、「ハーブス」を去る事になる。
商売のヒントにもなることも多くあるが、夫婦のあり方に長年夫婦をやってる者には、ハッとさせられるものがあった。
若い人も、定年退職したご主人と毎日顔を合わすことに不安に思っている方にもおすすめです!


