非行少年の世界と周辺 少年鑑別所の現場から

非行少年の世界と周辺 少年鑑別所の現場から

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  書 名    : 非行少年の世界と周辺

  サブタイトル: 少年鑑別所の現場から

  カテゴリー : 教育/社会

  著 者   : 木 清(たかぎ きよし)

  定 価   : 1,680円(本体1600円+消費税)

  発行元   : JPS出版局

  発売元   : 太陽出版

  本の大きさ : 四六判

  製本形態 : 上製(ハードカバー)

  本文ページ数: 176頁

  ISBN978-4-88469-595-8


内容紹介

少年非行を通して見えるもの

非行は社会を映す鏡と言われるように、非行少年の世界から社会のいろんなことが透けて見えてくる。

とりもなおさず、そこには非行少年の改善更生策を超えた社会における人づくりに通じるヒントもたくさん隠されている。

 

現場からの報告

この本は、長年にわたり非行犯罪に関わってきた非行臨床家の記録である。

少年鑑別所など矯正に身を置く職員はもとより、家庭裁判所をはじめとする少年事件に関わる機関の方々、非行犯罪や教育問題に関心のある方々および子どもを持つ親御さんに一読してもらいたい。

読者の皆さんへ 木 清(たかぎ きよし)

 少年非行については、非行犯罪心理学などの教科書があります。また重大な少年犯罪が起きたときはマスコミが大々的に取り上げ、大学教授等のコメントも紹介されます。しかし、四六時中非行少年と接し処遇している少年鑑別所や少年院の現場からの報告はあまり目にしないのが実情です。

 非行少年や犯罪者を収容する矯正施設は、人間社会における陰の部分、人権上の問題、塀の中の面々や出来事を色眼鏡で見る無責任な存在などもろもろの特殊事情を抱え、ともすると閉鎖的にならざるを得ない部分があります。

 しかし、昨今の社会における規範意識の低下、心の荒廃が深刻化する状況を、関連する領域の専門家であるはずの者が黙って眺めておくだけでいいのでしょうか。特に青少年の健全育成や矯正教育の使命を課せられている少年鑑別所や少年院は、現場の第一線で処遇を行う者として、もっと積極的に意見や提言を発信すべき時期に来ているのではないだろうかと思います。

 本書は長年の非行臨床における体験・見聞、個人的見解をまとめたもので、普段は表舞台に出ることが少ない少年鑑別所現場の実務家による視点から成るものです。わたしは、非行臨床の世界に足を踏み入れたころから、「非行少年といえども出会いに恵まれていさえすれば違った生き方ができたのではないか。立ち直りのきっかけさえあれば立ち直ることが可能なはず。」という思いを持っていました。

 その後、彼らと付き合えば付き合うほど、ますますこの思いが強まっていきました。そして、平凡な実践家の人間から成る本もあっていいのではないかと考えるようになり、彼らとの出会いの中で見られる少年たちの素顔、彼らに関わる少年鑑別所や家庭裁判所など周囲の処遇の実際を紹介するとともに、非行少年の世界を通して見える家庭、学校、地域社会のあり方について論じてみることにしました。

 拙文ながら専門家が読んでも一般の方々が読んでも分かりやすいよう仕立てたつもりです。非行少年の世界と彼らに関わる周囲の実情が社会の皆さんに広くご理解いただけるよう、また小中学校、児童相談所、家庭裁判所、児童施設、保護観察所、警察、弁護士、病院、各種相談センターのそれぞれが一所懸命行っている指導が縦断的、横断的につながり、点から線の取組みになるよう、さらには子どもを持つ親御さんの子育ての道しるべになるよう、少しでもお役に立てることを願っています。

著者紹介

1950年 京都府生まれ。福岡市在住。宮崎大学教育学部卒業

1973年 法務省入り、福岡少年鑑別所首席専門官、京都少年鑑別所次長、福岡矯正管区医療分類課長等を歴任

2008年3月退職

 

著者の横顔

 

 著者は、昨年の春に、普通よりは少しだけ早く、35年間の長きにわたる矯正人生に幕を下ろされました。私はそのうち、都合5年間、回数にして3回、同じ施設で勤務させてもらっただけで、著者にとっては多くの著者を慕う同僚の一人に過ぎないと思いますが、私にとっては、今でも最も頼りにしている先輩です。

 「現場からの提言」が本書の主題と思いますが、著者は、本当に現場が似合っていましたし、現場のことをよくご存知でした。経験に裏打ちされた自信というか、器の大きさがあって、判断に躊躇がありませんでした。最近は公務員に対する社会の見る目が厳しさを増していることもあって、矯正の現場も、何というか、妙に縮こまっているところがあるのが否めないわけですが、そうした中、著者の「おそれず、ひるまず、うろたえず」の構えは、非常に頼もしく感じていました。

 本書のそこかしこに現場主義が語られています。著者がそこで言いたかったことは、要するに「愛」なのではないかと思います。「愛」と言うと、いかにもやさしく、柔らかなものをイメージしがちですが、私は、著者のそれは、戦国武将直江兼継が兜に掲げた「愛」につながる、強さや猛々しさをもはらんだ奥行きのあるものだと確信しています。

 現職を退かれたとはいえ、少年鑑別所等でボランティアの講師として子供たちとかかわっておられ、現場主義は今でも熱さを失っていません。むしろ、組織の妙なしがらみや建前にとらわれる必要がなくなった現在の方が、著者らしく自由にのびのびと子供たちとかかわっておられるのかもしれません。これからの著者のますますのご活躍を祈念します。

一後輩より

目 次

第1章 少年鑑別所とは

・組織と業務

・少年事件の流れ

・非行鑑別

・観護処置の教育的機能 ―時代の変遷

・少年非行の推移

 

第2章 少年鑑別所の中の少年たち

・入所したときの少年たち

・少年にとって少年鑑別所とは

・悩まない、悩もうとしない人たち

・審判 ―一番の関心事

・面会の風景

 

第3章 非行少年の世界

・非行犯罪とは

・捕まる危険を冒してまでなぜそんなことをするの?

・非行化と非行利得

・少年に多い集団暴行

・増える粗暴非行

・いじめについて

・貧困感からの非行

・情報化の影響 ―少子化

・気の毒な家庭の子が多い

・同じ過ちをくり返す少女

・家庭における情緒安定化の機能と社会化の機能

・心の断面

・非行少年と一般少年に見られる意識の変化

 

第4章 少年鑑別所の鑑別と処遇の実際

・処遇上の基本姿勢と施設構造

・観護学

・鑑別面接

・心理テストについて

・鑑別結果通知書なるもの

・為になる日課と処遇

・保護者への働きかけ ―家庭療法的援助

 

第5章 少年非行を通して見えるもの

・非行対策は人づくりにつながる

・非行を出さない家庭とは

・学校教育のこと

・職場のこと

・地域社会と行政

・少年院につて

・少年鑑別所の来し方、行く末、あり方

 

第6章 少年審判のこと

・審判廷の風景

・裁判官のこと ―審判処遇

・調査官のこと

・弁護士のこと

・被害者の少年審判傍聴のこと ―被害者への謝罪

・巻末資料 少年法関連法令抜粋

サンプルページ

はじめに

 

 重大な少年犯罪が発生すると、マスコミは一斉にそのショッキングな犯行を報道し、テレビには、少年が護送車に乗せられ、灰色の塀に囲まれた建物の中に収容される映像が流される。そしてマスコミは、少年の実像や犯行の背景に迫るべく、大学教授や面会に出向いた後の弁護士にマイクを向け、彼らのコメントを紹介する。

 本書は、この灰色の塀の家主で、ほとんど裏方にあって表舞台に上がることがない少年鑑別所現場からの報告である。わたしは非行臨床の世界に足を踏み入れたころから、「非行少年といえども出会いに恵まれていさえすれば違った生き方ができたのではないか。立ち直りのきっかけさえあれば立ち直ることが可能なはず」という思いを持っていたが、その後彼らとつき合えばつき合うほど、ますますこの思いが強まっていった。

 長い間、現場主義に徹してきた実務家の視点から、従来の非行犯罪心理学や教育学関連の教科書のたぐいとは違う形で、在職中の経験・見聞を整理し個人的な見解をまとめ、少年非行について論じることにしたい。まずは「少年鑑別所の業務」や「少年非行の推移」など基本的なことを理解していただいたうえで、次に「少年鑑別所の中の少年たち」ということで彼らの実像を紹介する。三つ目は、「非行の意味と背景」、彼らの「心の断面」などについて記述し、四つ目は、「少年鑑別所の鑑別と処遇の実際」を紹介する。五つ目は、少年非行の実態を踏まえ、家庭、学校、地域社会に対し感じ思ったことを述べ、少年鑑別所のあり方についても言及する。最後に、家庭裁判所における少年審判について触れる。また昨今、少年事件に関与することが増え始めた弁護士のことについても言及した。なお、章の合間に少年非行の実態を具体的に理解していただけるよう「非行臨床ファイル」を挿入した。

 本書は、長年、非行犯罪に関わってきた非行臨床家の記録である。少年鑑別所など矯正に身を置く職員はもとより、家庭裁判所をはじめとする少年事件に携わる機関の方々、非行犯罪や教育問題に関心がある方々及び子どもを持つ親御さんに一読してもらいたい。本書がわずかなりとも皆様のお役に立てればこのうえない喜びである。

推薦の言葉(高石左京)

非行少年,少年鑑別所,不良,いじめ,暴行,不登校,カウンセラー

 送られてきた原稿を手にして、まったくの予備知識が無かったこともあり、少年鑑別所の現場からの生々しい実態報告に引き込まれました。

 と同時に仕事柄とは言え、非行少年たちの心の襞さえも温かく冷静に見つめ、少年たちの心の動きを通して今の社会の問題点を探る著者の物の見方、考え方に共感を覚える箇所が多数ありました。

 「ぜひお会いしたい」とメールを送ったものの、著者の高木さんが遠く九州にお住まいであることや、その後の私の長期にわたるアメリカ旅行や韓国旅行もあって、結局は幾度ものメールと宅急便のやり取りで本を仕上げることになりました。

 

 今、続々と団塊の世代に属する人たちが退職の時期を迎え、次世代への技術や知識の継承の難しさが話題になっています。

 特に次世代の少年たちに深くかかわる少年鑑別所や学校の現場などは、長年にわたる経験や知識の継承が大きなテーマです。

 退職後すぐに執筆に取り組まれたこの本は、まさにまだ熱が冷めやらぬ現場からの報告であり、合わせて現場一筋に生きてきた著者の知識と経験が凝縮された内容になっています。

 教育関係者や矯正の世界に身を置かれる方たちだけでなく、家族あり方や子育ての問題について考える本として、より多くの方たちに読んでいただきたい本です。


レビュー

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