私、精神科に入院してました。
書 名 : 私、精神科に入院してました。
サブタイトル: 解って欲しい、精神疾患患者の気持ち
体験しなければ分からない精神科病棟
カテゴリー : うつ病/精神病/闘病
著 者 : 西野 桜(にしの さくら)
定 価 : 1,000円(本体952円+消費税)
発 行 元 : JPS出版局
発 売 元 : 太陽出版
造 本 : 四六判/小口折製本
本文ページ数: 128頁
ISBN978-4-88469-517-0
内容紹介
6年のうちに7つの病院に11回の入院、4回の自殺未遂。
うつ病だったのが抗うつ剤で躁転、躁うつ病に。
誰もが精神科患者予備軍の現代社会に生きる人たちに、精神科関係者だけでなく、一人でも多く人に読んでもらいたい。
目 次
著者(西野桜)の横顔 (著者略歴)
1968年東京に生まれ東京で育つ。早稲田大学教育学部教育学科教育心理学専修卒業。
プログラマー、SE、飲食店勤務などを経て、今は限りなく無職に近い専業主婦。
ブログを書くのを趣味としている。
イントロダクション
プロローグ
「ねぇ、キミかわいいね。モロ、俺の好み」
ん? 私に言っているの? 突然話しかけられて、テーブルに突っ伏していた私は顔を上げた。
見上げると、痩せて頬のこけた18、9歳と思しき背の高い青年が突っ立って私を見ていた。
私は、なんだこいつ、と思いつつ答えた。
「あのー、もしかして、口説いているつもり?」
「そう」と、うなずきながら青年は言った。
「あのね、私、夫も子どももいるのよ」と返したら、彼は「ごめんなさーい」と言いながら、走り去ってしまった。
なんなんだ、こんなところでナンパかよ。
こんなところ。そう、ここは精神病院の閉鎖病棟の食堂兼ホール。入退院を繰り返しているからたいていのことには驚かなくなっていた私だが、ナンパには面食らった。37歳の太ったおばはんつかまえて「かわいいね」だと? どうかしている。まぁ、どうかしている人たちだらけだけどね、こういうところは。
私だって例外ではない。躁うつ病で自殺未遂4回、入院がこの時点で7つの病院に延べ10回という経歴の持ち主なのだから。
なぜそんなことになってしまったのか。それはやはり、説明が必要だと思う。話せば長くなるけれど、あえて書かねばならないだろう。私の病歴を。自殺未遂の引き金を。入退院を繰り返した理由を。
この本では、精神科の病棟生活がどんなものかを主体を書くつもりだけれど、その前に、それまでの経緯に触れなければならない。しばし、お付き合いいただきたい。
編集者より一言
推薦の言葉(高石左京)
「これじゃ、書名は"入院してました"じゃなくて、"入院してます"に替えなきゃいけないかもね」
著者の西野桜さんが入院していた病院へ、校正ゲラを届けた私のジョークなのだけど、実際に一度書き上げた原稿の推こうや、さらには著者校正の繰り返しで、著者の西野さんは気力を使い果たしたみたいだった。編集作業も佳境に入った頃、自ら進んで行きつけの精神病院に入院した。
校正ゲラを届けた時が、私には初めて足を踏み入れた精神病院だったが、西野さんの原稿を幾度も読み返していたこともあって、病棟の中も、入院患者の人たちが寛ぐ中庭も、なぜか懐かしく感じられた。
「この人が本の中に出てくる○○さん」「あー、あの人が△△さん」
二人で中庭で話し込んでいると、何やら話しかけてくる人がいる。本の中の登場人物そのままに、次から次へと現れる。まるで演劇の舞台に紛れ込んだような、映画のスクリーンに飛び込んだような、ふわーっとした奇妙な感覚に包み込まれた。
それだけ彼女が、周りの人たちに溶け込み、一つひとつのエピソードを丹念に文章にしたためて来たからだと思う。まさに実録、精神病院の人々をコミカルに描き切ったのがこの本だ。
鬱に苦しんできた彼女が、苦しみながらも一歩引いて、自分と、そして自分と同じように躁鬱で苦しむ人たちを、温かく描き切ったところに、この本の価値があると思う。

